にゃんぶろ

備忘録代わりに色々書きます

チェコにフレクサレットを買いに行った話

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チェコ名物のフレクサレットとトゥルデルニーク

 

 

Dobrý den!

 

世間は令和だ10連休だと喧しい今日このごろだが、こちら欧州では一足早く復活祭の連休であった。

日本に帰るほどの時間と金もないがどこかに出かけたい…

そうだプラハ行こう!

ということで飛行機で片道40ユーロ1時間半のプラハへの小旅行を決行した。

 

ハンガリーへはなぜか何度も行く機会があるんだけどチェコは全くの初めて。

言葉も通貨も意味不明だがとりあえず近所の空港からチェコ航空と言う名のLCCに乗りプラハに着く。

チェコEU加盟国ではあるがユーロ通貨は導入しておらず、チェココルナだかチョココロネだかよく分からない金を小ぢんまりした空港の両替コーナーで手に入れる。

 

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なんか絵本チックな絵柄

 

空港からは片道60コルナ(約300円)で中央駅へ行く空港バスに乗り自宅出発から3時間弱でプラハ中心部に着いてしまった。

車窓からも旧共産圏特有の愛想のないが独特に可愛らしい建物の町並みが見られ、そんな殺風景とも思えるアパートの1階部に最近できたシャレオツなBIOカフェなんかが入居している図はなんともエモい。

 

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おもちゃみたいな可愛らしい駅舎

物価はユーロ圏から比べるとかなり安いためちょっと奮発して中心部の5つ星ホテルを取った。荷物を置いて早速プラハ観光だ。

Twitterのフォロワーのスロバキア在住の方から色々とオススメスポットをお聞きしていたが、とりあえず初心者の義務である旧市街広場とカレル橋とプラハ城の見物に取り掛かる。

 

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旧市街広場、復活祭休みだからか出店がいっぱい

 

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カレル橋、人多すぎだがこれでもハイシーズンには及ばない

 

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プラハ聖ヴィート大聖堂、ちょうどこの前日にノートルダムが焼け落ちたので思い出してちょっと悲しくなっちゃった…

 

旧市街からプラハ城にかけては観光客がうじゃうじゃととんでもない数、これでも夏のハイシーズンに比べたら人手はマシな方だと知り驚いた。

完全に街自体がテーマパークのように観光都市化されており、言語は英語、通貨はユーロ。

橋の周りは完全に観光客をカモにした謎の田舎くさいお土産物屋だらけで少し辟易としてしまったが、それでもおもちゃのような町並みは西欧にはないスラヴな可愛さが感じられとても良い雰囲気であった。

 

 

さて観光客の義務は済ませたのでここからが本題だ。

教えてもらった共産アールヌーヴォーなカフェで昼食を済ませカメラ刈りに出かけよう。

 

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ミュシャのような可愛らしいが可愛すぎない共産アールヌーヴォー感がエモエモしい

 

 

チェコといえば何だ? そうだフレクサレットだ。

ジャパニーズオールドカメラ愛好家の間では最早必須アイテムと化しており、持ち物検査でもされたらフレクサレット未所持罪でリンチされそうな勢いなのでここらで手に入れる必要がある。

 

オーストリアハンガリー帝国時代からチェコ中欧の工場としてハプスブルク帝国のアキレス腱となり、ナチス占領下でもその工業力は重宝され戦車や機関銃を作り続けていた。

現代でもシュコダの車は日本でこそ見かけることはないが欧州ではよく目にする。

そんな工業大国チェコスロバキアの作り出した超堅実な名機がフレクサレットなのである。

 

またカメラばっかり買ってどうするんだという考えが脳裏をよぎったが、帰ったら結局見向きもしなくなるくだらないお土産よりチェコまでわざわざ買いに行ったフレクサレットの方が何倍も価値があるだろうと自分に言い聞かせカメラ屋へ向かう。

 

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道中でクーデルカごっこをする。これもプラハへ来た者の義務である。

 

知る人ぞ知る、いや、なぜか日本人の間では割と有名な例の店に向かう。

 

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奥まったアーケードの中で佇む姿に否が応でもワクワクしてしまう。ニクい演出。

 

デカっ!店内ひろっ!

フランスでもベルギーでもこんな大規模なカメラ屋は見たことがない。

さすが東側だけあってエクサクタやペンタコンの在庫はすごい。レンズも豊富で安い…

長居は危険だと判断し早急にフレクサレットコーナーへ。

 

丸々2棚分フレクサレットで埋め尽くされている様はさすがチェコ。圧巻。

各種モデルからアクセサリーまでびっちり揃えられており、まさにフレクサレット使いの聖地だ。

店員の愛想もよく、快く色々なカメラを触らせてもらった。

フランスのカメラ屋の店員にはカメラを売って頂くという姿勢で臨まなければならないが、チェコの店員はちゃんとお客様として見てくれる。良い国。

 

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お買い上げ

 

一番綺麗なフレクサレットVIに決めた。

ケースと35mmフィルム用アダプターは付いていないが、調整済みレンズキャップ付きで2000コルナ(約1万円弱)なら悪くない。

おしゃれなグレーの貼り皮は変色が目立つので綺麗な個体はなかなか少ない。

ビューレンズがBelarではなくAnastigmatなのでVI型になった初期のものである。

1963年製。

 

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家に帰って清掃してみると思っていたより綺麗な個体だった。チェコスロバキアの文字が光る。

 

 

さて前置きが長くなったが、写りはどんなもんか。

せっかくプラハで買ったんだからプラハの写真を撮らないとね。

 

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帰る前に共和国広場にある共産主義博物館に行ってみた。こう言ってはなんだけどここが一番面白かったかも…

 

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なるほど実によく写る。

皆があれだけべた褒めするだけあって、この写りはまさにローライなんかの高級機のそれじゃないか。
1万円以下のカメラが出していい画ではない。
私が持っているフランスの二眼レフとは全くキャラクターの違う実に正統派な写りでスッキリと気持ちがいい。

買ってよかった…

 

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チェコ土産

1泊2日の弾丸旅行だったが楽しかった。

ヨーロッパの歴史の中で揉まれ続けた国の奥深さは計り知れない…恐るべきチェコスロバキア

ご飯はまあ…その…だったけど良い国だったよ…

 

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チェコスロバキアの人々にとっての歴史の大転換点は1945年ではなく1968年。

”人間の顔をした社会主義”を目指した人々の努力は1968年の8月にワルシャワ条約機構軍の戦車によってあえなく潰される。

ソ連に粉砕される前のチェコスロバキアが残した数少ない遺産がこのフレクサレットなのである。

 

 

平成最後の滑り込み更新!

では令和で会いましょう!