にゃんぶろ

備忘録代わりに色々書きます

SEM社シリーズ 第2弾 Semflex Standard を買った話

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シャレオツやろ?

 

 

フレンチカメラ第二弾。今回は二眼レフです。

 

ドイツカメラはどこに居ようが買える、というか日本で探した玉も多いし場合によっては状態も値段もいいだろう。

というわけでせっかくフランスに住んでいるのだからニッチなフレンチカメラの世界を開拓しようと今週も元気に蚤の市に乗り出したのだ。

 

全体的に不作の感がある蚤の市のカメラ畑だったが、Rolleiflexを自慢げに飾る店を一件見つけた。

400ユーロという強気な値段でボロいRolleiflexを本日の目玉にして陳列していたが、その横のダンボールにはFoca UniverselやらSem Kim、そしてこのSemflexが雑多にぶち込まれていた。

現代フランスでは古いフランスカメラなんて見向きもされないのか…ああなんと嘆かわしいことか…

まあ我々日本人だってライカには金払うけど、ヤシカなんてハードオフのジャンク箱にぶち込まれてのに見向きもしないもんね…

やたらRolleiflexを勧めてくるおっさんにSemflexの値段を聞くと25ユーロ、シャッターがたまに固まる旨を伝えると興味なさげに20ユーロで持ってけと交渉成立。

2000円ちょいで買える二眼レフとは如何程のものか。

 

 

前回のBabySEMと同様SEM社が送り出したカメラだけど、35mmカメラと違い今回は日本でもそれなりの知名度があるSemflex。

案外知られてはいないが戦後フランスは結構な二眼レフ大国で、Rexflexのレンズ交換式二眼レフなんていう意欲作も作っていた。

 

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まっこと瀟洒な佇まいと意地でもドイツ野郎と同じカメラは作るもんかという気概を感じさせるデザイン。

真っ黒なカメラは絶対に作らないという意思表示かのように青みがかった灰色の貼り皮が美しい。

 

フランスカメラ全般に言えるのだけど、見た目の美しさを求めるが故にネジやピンの類いを徹底的に外から見えないように隠すクセがあるようで解体の際に大変めんどくさい。

メンテナンスをしやすく設計し長期間使えるようにと考えられたドイツカメラの哲学とはここでも反目するのである。

どれだけ仲悪いの君たち?

 

 

Semflex Standardといってもシリーズ内でのバリエーションはかなり多く、デザインから仕様レンズまでかなりまちまちである。

中にはAngenieuxのレンズを使ったモデルまで存在するようでこいつはかなりの珍品。

Angenieuxレンズの二眼レフなんてマニアが聞けばそれだけでロマンに過剰摂取で死にかける一品である。

 

今回購入したのはもっともオーソドックスなBerthiot 75mm f4.5をテイクレンズに使用したモデル。

ベルチオのf4.5なんていう暗〜いレンズと聞くだけで「これはよく写りそうだな…」なんて思い始めたらもう末期である。

自分の中のオールドレンズは暗ければ暗いほど写りの良いレンズという法則に今回も間違いは無かった。

 

 

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何よりも色がいい。

中々コントラストの効いた濃い色の出るレンズだ。

ボヤッとフレアが出たりはせず、どちらかというとキリッと深い色を出す印象。

ボケ方はやんちゃでズマリットを彷彿とさせる。

真っ昼間にPortra400を詰めたのであまり開放で撮れなかったのだが、3枚目の手前や奥は決して手ブレしたわけでは無くぐるぐるボケである。

 

ドイツ系の階調と解像度で攻めてくる感じとは違う、色で勝負してくる感覚はフランスのエスプリを十分感じられるのではないか。

うーん良いんじゃないこれ?個人的にはペン6よりも好きかもしれない。

 

 

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しかしこいつ、写りと裏腹にほんとに気難しいカメラでレンズシャッターのくせに頻繁に不調を起こす。

購入時からシャッター不良はあったが持ち帰ってある程度整備してもシャッターが固まる。

撮影前に自宅で確認をした時は問題無かったのに、いざ現場でシャッターを切ると固まりやがるのである。あれだけ確認した時はなんとも無かったのに💢

 

露出、構図を決めて ココだ! と思う瞬間に切っているのに固まる。

レンズキャップを付けて何度か空シャッターを切って動作確認してからもう一度仕切り直してシャッターを切ると固まる。この時点でイライラはMAXだ。

この場で地面に叩きつけてやろうか!このクソカメラめ!

3度目ともなると構図も被写体も適当である。

どうせシャッター切れないんでしょ?わかってるわかってる。

なんてと脳内で毒づく私をあざ笑うかのように今度はカシャンとシャッターが切れるのだ。

 

どこまでもこの所有者をバカにしたような態度で12枚撮らされた時はもうなんていうか屈服感を感じた。カメラ相手に。

よく分からない構図でよく分からない被写体ばかりなのはこのせいである。

ビューレンズもf3.3というなんともよく分からないレンズでファインダーも割りと暗くてよく分からない。

これで出てくる写真もよく分からなかったらその場で捨ててやろうかとも思ったが、上がってくる写真はどれもいい感じなのがまた手に負えない。

オレをからかってそんなに楽しいか?ああ?

 

 

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人をバカにした態度とは裏腹に美しい佇まいと鮮やかな色の写りでフランスを全身で感じることができるカメラであるのは間違いない。

腹は立つが毎日いじってあげたくなる愛嬌はある。腹は立つが。

 

二眼レフは日本ドイツの独壇場ではなくフランスやチェコ、イギリスのカメラも楽しめるバラエティ豊かなジャンルなので普段と気分を変えたい人には是非色々な国のカメラを試してもらいたいところである。

 

 

ちなみにこの後にM3を触るとなんと素直で良い子なんだろうかとしみじみ感じた。

お前は良い子だなあ。よしよし。