Leicaでも寄れるんだ! SOMKY を買った話
か、かっこいい〜(恍惚)
ライカフランスは少し特殊で、ライカストア各店舗が昔のフランチャイズを引きずっており未だに各店舗がまちまちの半分個人カメラ店のような経営を行っている。
なので日本とは違い、ライカストアで中古商品の売買が行われており、ライカフランス共同のHP上に各店舗の中古商品が掲載され日々更新されているのだ。
その中でずっと売れずに残っているSOMKYなる商品があった。
これはM型ライカでマクロ撮影を可能にするマウントアタッチメントで、M型ライカを使う人間にとっては夢のような装置なのである。
なのになぜ売れ残っているのか。
というのも、このSOMKYなる装置は初代の沈胴 Summicron 50mm と Elmar 50mm にしか付けることが出来ないのだ。
前々から興味はあったのだが年末にSummicronを買って以降、こいつに対する興味は益々増していった。
この素晴らしいレンズで寄れたらどれだけ素晴らしいことか…
ページの更新をサボっていて実際店舗に行ってみるともう在庫は無いなんてことがフランスではざらにあるのだが、こいつはちゃんと中古ショーケースの端に鎮座していた。
初めてM3を買いに行った頃はライカストアにビビりまくりで、特にパリの某店は気難しそうなムッシューとマダムが店舗を取り仕切っており中々ビビっていたのだが、最近は何度も通ううちに笑顔を見せて挨拶をしてくれるまでになった。
そんな二人に挨拶をし、ショーケースのSOMKYを見せてもらった。
が、こいつが全く付けられない。
事前にネット上で付け方を学んで来たのだが、後玉の横の突起と受け口が絶対に嵌まらない。
見るに見かねたマダムとムッシューもチャレンジしたがこれが一向に上手くいかず、ライカストアの店員総出であれこれ試したがついに付けることができなかった。
「明日スペシャリストが来店する予定だから聞いとくわ。すまんな。また金曜に来てくれ。」と言われ後ろ髪を引かれながら帰宅した。
今日は昼からたまたまボージュ広場の側に用事があったため、すぐ横にあるライカストアに経過はどうかと訪ねに行った。
私の顔を見るなりムッシューが無言で親指を上げたので笑ってしまった。
すでに机の上に準備されていたSOMKYを握りしめ「Appuyerが必要だったんだよ…Appuyerが…」と言いながらいとも簡単に私のSummicronを装着してしまった。
Appuyer つまり「押し込み」が必要だったのだ。
案外簡単な解決法に少々拍子抜けしたのだが、ライカストアの店員全員が気が付かないくらい本当に接続部の隙間が見えない。
ライカの工作精度は店員すら欺いたのだから面白い。
接客を終えたマダムも駆けつけ3人でSOMKYを付けたM3の佇まいをしばらく眺め「なんて美しいんだあ…」なんて言いながら会計をした。
しかしスペシャリストって誰だったんだろう…
う〜ん、かっこいい。
この眼鏡だけで芸術品ではないか。
おおおお M8に付けてもめちゃくちゃかっこいい…
M8でも使えるだろうかという点が不安だったが全くの杞憂だった。
(Leica M8 + SOMKY + Summicron 50mm 2.0)
寄れると言ってもこの程度だが、これでもライカ基準で言えばかなりのマクロだ。
ピント精度も問題ない。しっかりと ALCOOL の部分にピントがあっている。
最短撮影距離が1mから50cmになるということはテーブルの上の小物が撮れるということを意味する。
テーブルの上の食事を撮ろうとして上体を仰け反らせて無理やり撮影しようとしたことはライカユーザーなら誰でも経験したことがあるだろう。
ここのところセーヌ川が氾濫しそうなほどに雨続きで、気が滅入って体調を崩していたのだが、このおもちゃが最高の精神安定剤になることだろう。