Réaltの露出計を買った話(改訂版)
皆さんは露出計ってどうしてます?
フィルムカメラ愛好家にとってとても大切な問題である。露出。
皆さんはどうしているだろうか?
露出はしっかり測ろう派
大体の勘でエイヤッ!アンダーもオーバーも味だ!派
人間露出計マン
十人十色だろうか。
私が普段使っているLeicaのM3にもM4-Pにもライカメーターなるむっちゃ使いやすい純正露出計アクセサリが付いている。セレン式も電池式もどっちも良い。
あまり使っていないがRollei35にもコンパクトなボディに露出計が付いている。
人間露出計にはまだまだ遠く及ばない。露出計がないとなにも出来ない甘ちゃんカメラ野郎である。
そんな甘ちゃんカメラ野郎だが最近は物欲に支配され露出計の付いていないカメラを立て続けに買い漁っているのである。
ここらで単体露出計でも買おうかというのが真っ当な思考であるが、現状日本での選択肢は一番安くてもセコニックのアナログ露出計15000円である。
お世辞にも美しいともかっこいいとも言えない実用性100%デザインに15000円というのは私のようなミーハー野郎には絶妙に手を出すことが出来ないラインである。
ヨーロッパの良き文化、蚤の市。
アホみたいなガラクタを並べただけの店からテーマに特化した専門店も顔負けの品揃えを誇る店まで様々である。
蚤の市でよく見かけるカメラはZENIT、ブローニー、NIKOMATなんかのボロボロジャンク。
カメラ自体がわりかし高級品であるためかスタンド型の蚤の市で机に並べて売るより、店舗型の蚤の市で探すほうが良いものが見つかる。
例の店の軒先でこいつを見つけた。
ガラクタと言わんばかりにダンボールに無造作に放り込まれた露出計たちだが、よく見ればめちゃくちゃかっこいいではないか。
そもそも露出計に中古という発想がなかったのだが、フィルムマニュアルカメラ全盛期には猫も杓子も露出計とにらめっこしながら写真撮影をしていたわけで、その時代の露出計だってもちろんたくさん存在するわけだ。
カメラ2大超大国に押され気味のフランスカメラ業界であるが、1970年代ぐらいまではそれなり健闘しながらエスプリ全開の製品を作っていたのである。
このRéaltというメーカー、調べてみても露出計以外の情報は出てこず。露出計専門の会社だったのだろうか。
英語なんてクソ食らえといったフランス語オンリーの盤面は清々しいほどのフランス気質を感じさせる。
リュミエール兄弟の国フランスでは光学業界自体がどちらかというとスチルカメラではなくシネカメラ寄りだったようで、こういった機器もシネカメラ用がメインでついでにフォト撮影にも使えますよといった風情である。
現在もISOとして使われるフィルム感度ASAやライカユーザーには馴染み深いドイツ式DINはよく目にするがSchは初めて見る単位である。
"Sensibilité Sch.Europe"とあるようにヨーロッパ(フランスのみ?)での独自フィルム感度の単位のようで、ASA100 = Sch32、ASA 200 = Sch35なようだ。
シネカメラではもしかしたら有名な単位なのかもしれないが生憎そっち方面はさっぱりであるので、もし詳しい方がいれば是非お教えいただきたい。
大抵の露出計ではフィルム感度を設定するダイヤルがついているものだが、こいつは感度ごとにメーター内の金属製シートを交換するという原始的かつロマン溢れる仕様がなんとも喜ばしい。
これらの金属板も革ケース内の内ポケットに収納でき男の子心をくすぐるのだ。
黒い方は革ケース内側に前の所有者の名前と住所?が書かれており蚤の市の戦利品っぽさ満載。
ホコリや汚れでくすみ、カビが生えていたが、帰宅後分解清掃すれば綺麗になった。
店先で光にかざしてみるとしっかりと光に反応していたので問題ないと判断したのだが、ライカメーターと並べて測光してみるとかなりアンダー目に出る。
年数なりの劣化は致し方ない。
電池式だと電池の電圧なり抵抗なりで調節できるのだがセレン式はどう調節したものだろうか。
まあ大体の目安になれば良いので特に問題もないか。
革の色やデザインがいかにもフレンチで良い。
機能を犠牲にしてなんとなく美しいものを作る能力に於いてフランス人に並ぶ民族は他にいないだろう。
かのエドワール・ブーバは「フォトグラフィーは光の学校である」と言った。
写真とは光を写す行為に他ならない。
私ももうちょっと真面目に光と向き合ってみようか。
それになんだか冷静に考えれば光を読む機械というのはめちゃくちゃかっこいい。
フレンチ撮影セット。
↓ エドワール・ブーバ先生の写真のとり方教室。おもしろいよ!